裏日本・浜谷浩写真集/署名/昭和32年/川端康成序・濱谷「裏日本」の写真の一つ一つはそしてまたこれらの組写真は深く訴えて来るものがある

商品説明
裏日本・浜谷浩写真集/署名/昭和32年/棟方志功題字・川端康成序・濱谷「裏日本」の写真の一つ一つはそしてまたこれらの組写真は深く訴えて来るものがある

昭和32年 外箱と解説欠 棟方志功題字 27㎝×36cm ゆうメール・レターパック規格外。 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

川端康成
写真家の写真集に、私が序文を書く資格があるとは、もちろん思わない。しかし、濱谷「裏日本」の写真の一つ一つは、そしてまたこれらの組写真は、深く訴えて来るものがある。ただ、写真が美しいこと、すぐれていることにとどまらない。この「裏日本」の写真は、長いこと目を離せないで、くりかえしてながめ、そうして私の胸にしみ通って来る
のである。写された自然と人の奥に語りつづけられるのは、私流に言えば、日本の風土と民俗との「かなしみ」とも思われる。「かなしみ」と言っても、濱谷氏の写真は、 日本の哀傷、あるいは抒情に流れてはいない。濱谷氏は写したものと共に暮らしている。

濱谷氏は二十年余りも、日本の民俗に深い愛情を抱き、その調査と撮影を続けて来た。前著「雪国」もその成果の現れである。中国に旅しても、まず「辺境の町」をまとめた濱谷氏である。そして、第三の収穫がこの「裏日本」であるところに、 濱谷氏の一貫した念願顕著な独自性も、なお強く定着を見た。 また、「裏日本」で濱谷氏の視野はいっそう深みと広がりを加えた。「雪国」でもそうであったが、この「裏日本」の組写真に、濱谷氏の費した歳月と労苦とは、思いあまりある。青森、秋田から、島根、山口まで、裏日本をあまねく濱谷氏は歩いている。雪のなかが多い。昔ながらに営まれている人間の暮らしを見出して、その姿をこのように格調の高い写真にとらえ、しかも、その写真が余韻の っきない話しかけをして来るのは、作者の心の愛であろう。また、これらの写真が、珍らしい記録に終らない力強さに
は、ここに見るほどのつらい営みをあらしめるものへの、作者の怒りも感じられるからにちがいない。

この集には、すでに雑誌などで、「裏日本」、「女のくらし」、「風土」 などと題して示され、 傑作と言われたものもふくまれているが、ここにこうして、順序ある配列を得た時は、なおその真価が明らかになったとも言える。ここには裏日本の激しい四季の移り変りと、人間のつらい生活とが、組み合わされている。濱谷氏が時と所とを得て、「雪国」、「辺境の町」につづく、「裏日本」の成ったことは、 民俗学風な写真の道に意義の深いことだが、 ここから更に濱谷氏の今
後の仕事の発展が約束されているのを思えば、楽しみとよろこびとは、多くの人々のものであろう。


お探しの方、お好きな 方いかがでしょうか。

品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。表紙小傷、小汚れ、背表紙小黄ばみ、カバー上部微細な破れ。天部しみ。本体に軽度の反りあり。ページ小黄ばみ。昭和32年ですので全体的に経年感はあります。ご理解の上、ご入札ください。もちろん読む分には問題ありません。 182582注意事項

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